奥大日岳 大日岳
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(↑クリック) 立山や劔岳に登るたび眺めていただけだった大日岳と奥大日岳。そんな山に登る日がついにやってきた。
当初ランプの宿だという大日小屋で宿泊する計画だったが、雷鳥沢野営場でのテン泊も経験したく今日はテント装備だ。一日目は立山三山を歩いてからここでテン泊する人が多いと聞くが、私はここで一日中お酒を飲んで過ごすことに決めた。
吹く風はさわやかで午後3時の気温でも20度。テントの出入り口を立山方向にし、うつ伏せに寝ながらあごに手を当てて、青空に白雲湧く背景の山を楽しむ。真砂岳や別山の稜線に人の姿を確認できるが、あまりにも小さいので思いっきり目を凝らさねばならない。そんな山が徐々に茜色に染まると、周囲では色とりどりのテントの花が咲き出した。
翌6日は快晴の天気だ。4時に起きたが星が瞬き月は明るくてヘッドランプは不要だ。夜露でボトボトに濡れたテントを片付ける。今日は長丁場になるので出来るだけザックを軽くしたつもりだ。夏の花が僅かに残る室堂乗越の稜線に出ると、今までいた野営場が下に見下ろせる。西へ進むとやっと朝日を浴びた劔岳が姿を現した。
今日立山駅から室堂にやってくるには7時始発のロープウェーに乗り、その後美女平発のバスに乗るしかない。まだ立山有料道路にバスは無いが、7時半を過ぎた頃になって、弥陀ヶ原の中をくねくねと曲線を描く道路に、4〜5台で間隔を開けて続々と上ってくるバスが見て取れた。
男子高校生風の団体を抜きつ抜かれつしながら奥大日岳に近づくと雷鳥が私の目の前に現れた。手を伸ばせば捉まえられる距離でも逃げようとはしないのには驚きだ。「ちょっと道をあけて。それにこんな快晴なのに(天気が悪くなる傾向時によく見られるお前が)なんで現れるの?」
奥大日岳山頂から室堂や弥陀ヶ原はまるで箱庭のように見える。大きな薬師岳や槍ヶ岳のように尖った笠ケ岳はもちろん、黒部源流の山々が確認できる。自動シャッターで失敗したらしい単独者を劔岳をバックに撮ってあげた。
山頂を後にすると直ぐにオバサンの団体と出合った。今朝5時に大日小屋を発って来たという。急な岩場となった。下からは若い女性2人がこちらへ登って来る。落石を起こしてはいけないので上で待つことにした。やり過ごして下りてゆくと女性が「そちらは危ないようです。左のハシゴの道の方が安全ですよ」と教えてくれる。 辺りにスコップや丸太やカケヤが散在していたので回避道を設置中のようだった。
どんなところか気になっていた七福園は巨石を施した庭園風の景色が広がっていて、長い縦走路の一服の清涼剤のようだ。振り返れば奥大日岳の左に黒くゴツゴツした劔岳がある。
やっと赤い屋根の大日小屋が見えた。ここはランプの宿・ギターの宿として有名だ。案の定小屋からクラシックギターの音色がする。中に入ると若い小屋番が食堂で練習中のようだった。家庭用の保冷剤がいくつも沈められた水槽から缶ビールを取り出して購入した。
大日岳まではザックを分岐に置きピストンする。山頂に立てば富山湾が近いことに驚く。劔岳の早月尾根が山頂から麓に向かって永く延びていて途中にある早月小屋が確認できる。確認できると言えば劔岳の左奥に白馬岳があり白馬山荘も見えた。
山頂から大日平山荘へはコースタイム約2時間とある。見下ろせば草原風の奥で小屋が見えるが、まず急坂をこなさねばならないようだ。この急坂で今朝、称名滝の駐車場を出発してきたという登山者に続々とすれ違うようになった。皆一様に苦しそうだ。
「劔岳は見えました?」と突然声を掛けられた。「ええ、バッチリ」とだけ答えたが、今までの青空が一変して前方の大日平方向からガスが上がってゆくではないか?そうかこれから登る人たちは天気のことを心配しているんだと知る。青空はすっかり見えなくなった。あの快晴の空からは想像もつかない天気の変わりようだが、朝の雷鳥のことを思い出した。大日平小屋に近づくと池塘が点在する平地の中の木道でなかなか雰囲気がいい。時期が良ければ湿地植物やワタスゲが綺麗だそうだ。
大日平小屋で簡単な食事を摂ったあと、大日平を西へ快適な木道を進むと激下りとなった。ここは牛の首という難所だが、作業服にヘルメット姿の方が3人ほどいて作業中の様子。聞けば階段設置工事だとのこと。ご苦労様です。下るのにうんざりした頃突然、本当に突然、観光客で一杯の舗装道に出た。
ホットパンツ・サンダルにタンクトップの女性、ベビーカーを押す若夫婦、カメラを持った老夫婦、愛犬を連れた奥様等の中を場違いな格好の私が落差350mもあるという名爆を見に行く。下山してすぐバス乗り場へ直行していれば乗れたバスだったが、事前に確認しなかったため、1時間近く待たなければければならなかったというハプニングの後、無事立山駅に戻ってきたのでした。 |
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