針ノ木岳山頂から見た薬師岳 |
針ノ木岳
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鹿島槍ケ岳や爺ケ岳の登山口を右に見て、まもなく扇沢という所で車は完全に渋滞の列の中に入ってしまった。時刻は早朝4時。こんな時間にアルペンルートは運行しているはずもなく、まして登山者が下りてくる頃でもないので扇沢駐車場から車が減る筈も無い。仕方なくバックし、鹿島槍登山口よりまだ後の路肩にある広場に車を置いた。
15分車道を歩いて扇沢へ到着。黒部立山アルペンルートの切符を求める観光客が長い列を作る横を通って、針ノ木岳登山口に立った。針ノ木雪渓を歩くのは、2001年7月にテント泊で針ノ木岳〜蓮華岳〜鳴沢岳〜種池を歩いて以来だからもう8年ぶりになる。
4度ほど車道を横切ると右上画像の広場に出て、ここからが本格的な登山道だ。水量の多い沢に出たところで小休止を取った。どうやらここが鳴沢のようだ。
口の悪い小屋番がいた記憶のある大門小屋はすでに締まっていた。張り紙によれば9月6日で今年の営業は終えたみたいだ。小屋の裏にあった冷たい水の出るホースも撤去されていた。
左岸から沢に降り立てば7月や8月なら雪渓歩きとなるが、この時期はゴツゴツした石の上を進まねばならない。粗末な丸太の橋を渡り右岸を進むと、後方で爺ケ岳が朝日を浴びていた。
それまで人とすれ違うことは無かったが、7時半を過ぎて昨夜は小屋で宿泊した登山者が続々と下りてきた。「昨日はとても天気が良かった。今日もいいでしょう」「昨日の小屋は布団2枚で3人でした」との情報を頂く。
大雪渓の中間部にある比較的狭い箇所を「ノド」と呼ぶそうで、ここは現在雪渓のブリッジが崩落して通行が危険になり、左岸を高巻きしなければならないようだ。下りてきた男性が「雪渓歩きが出来ないとこんなにシンドイのか?」と嘆いていた。高巻き箇所の鎖やロープがつけられた急な岩場がよっぽど辛く厳しかったのだろう。
大雪渓の白馬岳もそうだったように、ここも雪渓が終わると花畑となる。夏の名残のダイモンジソウやウサギギクやチングルマやヨツバシオガマが少しだが残っていた。
激しい土砂の崩落を食い止めるため、葛篭折れの登山道には丸太が打たれている。そんな滑りやすい急登をこなすとやっと針ノ木峠に出た。時刻はまだ9時45分だが、この暑さに缶ビールを買わずにはいられない。
喉を潤し30分の休憩で体力も回復した私は、ザックを小屋前に置いて針ノ木岳を目指すことにする。針ノ木岳はもっと鋭角な山容だったと記憶していたが、小屋から見ると何か感じが違うような気がする。コースタイムは僅か1時間なのでゆっくり山頂へ向かう。
それにしても今日の空はどうだろう。明日は雨の可能性もあると聞くが、今日ここまでこの空この展望なら明日は雨でもかまわない。コマクサの大群落で有名な蓮華岳が後で大きく裾を広げている。
南の方向では目立つ姿の槍ケ岳を初めとして、私の乏しい知識でも名指しできるほど名峰が惜しげもなく姿を見せてくれる。鷲羽・水晶・赤牛・野口五郎・烏帽子に薬師。あ〜〜こんな幸せを経験していいのだろうか?反対方向でははっきりと山肌の色が違う白馬・杓子・槍の白馬三山が見えてきた。
11時過ぎやっと山頂に到着した。それまで見えなかった立山がド〜〜〜ンと姿を現す。劔岳も存在感があって素晴らしい。360度の大パノラマにさえ大満足なのに、劔・立山の下に見える黒部湖との高度感にも感動だ。目を凝らせばアルペンルートの赤いロープウェーまで確認でき、黒部湖には白い遊覧船も。
この時間、山頂はまだ人も少ない。たっぷり1時間近くも大展望を楽しみながら持参の大和名物の柿の葉寿司の弁当を食べる。手前味噌になるが消費期限はなんと翌々日の午前中までで、(私は決してしないが)柿の葉は捨てても自然に還るという優れものの弁当だ。
一時間も展望を楽しんだ後、小屋に戻る。「エビス生ビール1000円」のポスターに負けてジョッキを口にしたのが失敗だ。昨夜一睡もせずに6時間かけて車を走らせたせいで急に私に襲いかかるかる睡魔!!。まだまだ大勢の登山者が午後の山歩きを楽しんでいる午後1時過ぎ。私は私以外は誰もいない針ノ木小屋の一室で、大イビキで寝ていたのでした。 |
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