山行日 | 2005年11月26日 |
地域 | 大峰 |
標高 | 1726m |
天候 | 晴れ |
コースタイム | モジキ谷入口9:30---P1559M13:10--- 13:50稲村ケ岳14:25---母公堂16:05---16:30洞川 |
このコースは沢屋さんのルートであると共に、危険箇所があり充分な装備と読図力が必要です。
モジキ谷入り口には他の車はなかった。今日は沢ルートなので私の力量でも行けるかどうか不安もあったが、ダメなら適当な場所で引き返せばいいと考えて進むことにした。5分程山道を歩くと堰堤があり、そこから沢に降り立つ。来る途中の車窓から見た大日山や稲村ケ岳が白かったので、沢の前方に見える白い山がそうだとわかるものの、沢はルートが難しく、今日は慎重に進もうと心に決める。 わずか10分歩いただけで小さな滝が現れ、沢装備なぞなにもしていない私には進めないように思える。しかし右にロープが架かっていて助かる。途中左から沢が2本入っていたが真っ直ぐ進むと、11:10注意すべき分岐が現れた。正面の岩に「←モジキ バリゴヤ→」と赤ペンキで書かれていた。ここは左に取って進む。この先で涸れた沢の中に黄色いテープが巻かれた木があり、そのテープには「モジキ谷ありがとう」とマジックで書かれてあった。山行日付が2日間になっていたので途中テン泊したのであろうと思われる。2日もかかるなら適当な場所で引き返さなければならない。その時間設定を何時にしようかと迷うものの、なかなか決まらない。
以前カンスケ尾・ミオス尾から稲村ケ岳に登った山仲間との話で、稲村ケ岳西壁は恐怖の垂直の岩場が立ちはだかり、仕方なく大きく南の方へ迂回して登頂したというのを聞いた。そこで11:45、しっかり地図を見て、稲村ケ岳へ突き上げる沢ではない、右にある小さな沢へと進行方向を変える。徐々に岩が大きくなり、左右から岩壁が迫ってくる。 そしてついに進むことを諦める時がきたようだ。垂直の狭い岩壁に大岩が挟まっていて到底進めそうに無い。左右に巻く箇所を探すもののそれも難しいようだ。時間も正午になりここで引き返そうと決意する。しかし、今まで気づかなかったが、良く見ると右の斜面に10Mほどの長さの残置ザイルがあるのを発見する。 勇んで登ってみたものの、そこから先へは沢へと落ちる急な濡れた崖に枯葉が積もり、怖くて進めない。落ちたらアウトだ。仕方ない。先ほどのザイルを使って戻ろうかと思い、何気なく上を見たら今度はアブミがあるではないか。天の助けとばかり、ここもそれを利用させていただいて登るものの、これから先はあまりにも急な斜面のため上へは行けそうもない。それどころかなんとか事なきを得たが、1メートル程滑落する始末。その時起こした落石は、驚くほど大きな音を立てて随分下にある沢の岩に衝突したようだ。
数分の思考の後、怖い思いをして沢に戻って帰るより先へ進むほうが安全だと判断した。ここで完全に危険なモジキ谷に戻ることを放棄し、登頂することを決意する。しかし左手前方の沢に添って上に進めば、またこのような危険な箇所があるかもしれず、そこで右の尾根へ出ることにする。しかし上へは岩も張り出し急斜面過ぎて進めない。持参のシュリンゲを利用して安全を確保しながら、なんとかこの斜面を右の方へトラバースして安全なルートを見つけた後、尾根伝いで1559mピークへと進むルートを取ることにした。 悪戦苦闘の末、なんとかシャクナゲのヤセ尾根に出ることができた。あとは1559mピークまで楽な尾根歩きであることを願うだけだ。それまで余裕が無くて景色なぞ見ていなかったが、そういえば右にはバリゴヤノ頭が見え、その奥には弥山がある。左は日差しが明るい観音峰だ。
尾根は次第に広くなったが1559mピークに向けては急登が続く。あのピークまで行けば以前辿ったことのある、バリゴヤノ頭から稲村ケ岳のルートに出ることが出来ると思うと、少しは安堵感が持てた。時間は13:10。今度は目の前に続く大普賢岳から弥山の素晴らしい稜線を鑑賞する余裕もでた。 木陰に残る雪を踏みながら、稲村〜バリゴヤの稜線を歩く。この時間だとギリギリ4時には洞川に行けるかもしれないと思うものの、車の回収を考えると頭が痛い。今日は稲村小屋で泊まり明日、クロモジ尾・白倉谷経由でモジキ谷入り口へ戻ることも考えながら稲村ケ岳へと急ぐ。
山頂は無人だった。そういえば時間的な焦りから、今だ昼食を取っていなかったを思い出す。展望台に座って遅い昼食を取っていると、登山者2名が到着した。腹に物が入ると余裕も生まれ、周囲の展望と今登ってきたモジキ谷の姿をしっかりと目に焼き付ける。 稲村小屋では丁度小屋番が水場から水を汲んできたところだったようで、背負子の上には水の入ったポリタンが載っていた。宿泊して欲しいのか「今日は下山ですか」と私に問いかける言葉に「はい」とだけ答えて、法力峠目指して黙々と下る。途中女性ばかり10人くらいの団体さんに出会う。もちろん今夜は小屋泊まりだそうだ。
母公堂を過ぎて洞川の町に到着したのは4時半近く。早速、タクシーを呼んでもらうべく、バス停近くにある洞川観光案内所へ入る。中は暖房が入っていて身も心もとろけるほどの暖かさだ。その暖かい空気に触れてやっと下山できた実感が湧いた。 |
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