ホームへは上をクリックしてください

白馬岳から唐松岳

山行日 2005年8月6日〜7日
地域 北アルプス後立山連峰
標高 白馬岳 2932.2m
鑓ケ岳 2903.1m
唐松岳 2696.4m
天候 曇り
コースタイム (6日)猿倉5:25---6:10白馬尻小屋6:30---10:05頂上宿舎10:25
---11:05白馬岳11:15---13:55鑓ケ岳---14:50天狗山荘
(7日)天狗山荘5:55---天狗の頭6:12---不帰のキレット7:16---
9:35唐松山荘9:45---10:55八方池---11:40リフト乗り場
後立山連峰はどこからどこまでを言うのか知らないが、私の場合蓮華温泉から針ノ木岳までのルートの中で、この白馬岳〜唐松岳の間だけが未踏となっている。そこでなんとか繋いで見たく一昨年、昨年と2年連続テント泊でこのコースを狙ったが、2度とも風雨で敗退した苦い思いがある。どうせ今年もダメだろうと諦めていたが、やはり何としてでも歩いてみたい。そこで金曜夜に急遽、息子のトミーを誘ってみたところ思わず「行ってもいいよ」との返事。そこで夜11時に二人、マイカーで自宅を出た。
これより雪渓へ 雪渓を抜けて振り返る
 猿倉へは早朝5時に到着した。我が家からちょうど6時間かかったことになる。早速支度をして出発だ。トミーのザックにはお茶2Lと着替えと弁当とパン数個。予約はしていないが小屋泊のつもりなので軽いはずだ。しかし山は久しぶりのトミーには、いきなりの北アルプスはやはりきつかったと見えて、林道歩きまでは良かったが雪渓に降り立つと歩みが遅くなる。足の付け根が痛いとのことだ。 細かく何度も休憩しながら進み、○ミノバイタルを飲ませ、○ンテリンを足に塗るように勧めてなんとか雪渓を脱出した。

 それにしてもここの花畑のきれいなこと。クルマユリ・ミヤマオダマキ・ウルップソウ・アキノキリンソウ・ハクサンフウロ・タカネナデシコまでは分かるがそれ以外に名前の知らない花がいっぱいだ。傍にグリーンパトロールの人がいたので花の名を聞こうとしたが、どうせ沢山聞いても覚えられない。そこで一番気になる花の名だけを聞いた。それが下のタカネシオガマだ。確かにヨツバシオガマに似ている。

 頂上宿舎では二人共、自販機で缶ビールを買って飲んだ。あいにくのガスで展望はないが山頂を踏まずに進むことは出来ない。白馬山荘の横を通って非対称山容の右手崖っぷちに添って進むとコマクサが咲いていた。トミーはまだこの山の形を知らないようで山頂で写真を撮ったあと、どうせ見えないだろうが雪渓側に立たせると「何ココ、怖いほどの絶壁や!」と驚いた様子だった。風が強く寒いのでザックからフリースを出して着るように言った。
タカネシオガマ 白馬山頂が見えた
 「←唐松岳↓大雪渓→白馬岳↑旭岳」と書かれた道標の横を進むと、左手下には頂上宿舎と色とりどりのテントの花が咲くテン場がガスの中に見える。その下にはお花畑も見えた。踏みそうなほど沢山のイワギキョウが咲く道を30分ほど下り、そしてまた登り返すとまたトミーが遅れだす。どうやら登りが辛いようだ。

 いよいよ杓子岳のトラバース道に入る。よく写真で見る砂礫の道が続く。山頂へは登らずにそのまま進めばガスの向こうに迫力ある姿の鑓ケ岳が望める。なかなか手強そうな山に見えた。杓子と鑓の鞍部までくると風は強くなり、ガスも左から右へと流れてゆく。

 また急な登りが始まった。振り返れば杓子岳もいつの間にか見えなくなっている。天気が下り坂になると現れるという雷鳥が目の前に5匹。なんと4匹は赤ちゃんだ。羽虫でも取るのか、我々の足元で道に体や羽を擦りつけている。カメラを向けても一向に動じようとしなかった。あまりに歩きが遅いので、鑓ケ岳への登りでおばさま3人組みから心配の声がトミーにかかったようだ。鑓ケ岳山頂手前では親切にもテーピング用のテープを頂く。これで随分マシになったと本人は言っていた。3人組の女性の方本当にありがとうございました。

 左に八方尾根が見えてきた。少し下るとまもなく鑓温泉への分岐があるようだ。右手にはところどころ雪の残る広大な谷が広がっている。ふとこの大きな谷に降った雨はどこへ流れるのだろうと地図を広げて見る。やはり黒部川となって日本海に注ぐようだった。鑓温泉へ下りる道を左にみて、そのまま進めば足元にコマクサが見られる。先ほどの分岐からは20分で天狗山荘とあったが途中雪渓の上を歩き、わずか15分で発電機の音が聞こえてきて、今夜の宿天狗山荘に到着だ。
杓子岳を巻く道 この美しさには驚く
 夕食は2回戦目になると聞いていたが布団1枚に一人。二段ベッドの上から観察した限りではまだまだ空きがあるようだった。予め友人からの情報で聞いていたとおり、やはり夕食には画像のような鶏の鍋が出た。ご飯も高所特有の不味さはなく、圧力釜で炊いているのかもしれない。夜に大きな雷が鳴り響き、まるでバケツをひっくり返したかのような大雨があった。屋根を叩く雨音がうるさい・・・・っていうのは嘘で爆睡の私だ。

 翌日早速トミーから「お父さんの大きい鼾は近所の人に迷惑やった。おまけに向かいに寝ていた若者の足が臭くてたまらんかった」と文句を聞く。しかもまだ足が痛いので今日は唐松岳へ向かわずに鑓温泉から猿倉へ下りると言い張る。仕方なく親子で別行動を取ることにして、トミーには救急用品やレスキューシートやコンパスの入ったバックと地図を渡し「今日は午後から雷雨がありそうやから午前中に下りろ」と伝えて小屋前で別れた。
鑓ケ岳から南へ下る 天狗山荘の夕食にはなんと鍋
 5時55分いよいよ念願だった不帰のキレットに向けて出発だ。小屋前からは昨日通過してきた鑓ケ岳がきれいに見えている。天狗池の先ではコマクサの花の見送りを受けた。しばらく進むと、やがて後方でヘリの音が聞こえてきた。白馬山荘へ物資を運んでいるのだろう。左の八方尾根はガスがかかりなかなか全体が見えない。それでも今日はあそこを下りるのだと思うと思わず足早になってしまう。しかしながら今日は危険箇所があり、とにかく慎重に歩かねばと心に誓う。

 天狗の頭では唐松岳・五竜岳・鹿島槍ケ岳が並んで見える。右には剣岳と立山の山頂だけが望めたが、霞んでいるのでカメラに収めるのは難しいかもしれない。左手天狗沢が大きく口をあけていて雪渓もまだたっぷり残っている。雪渓に見とれていたら、なんと足元にはきれいなシロバナシャクナゲがあちこちに咲いていた。さていよいよこれからあの天狗の大下りが始まる。
天狗山荘前から鑓ケ岳を見る 天狗の頭、不帰の瞼、唐松、五竜、鹿島槍が並んで見える
 いきなり鎖を持っての急降下だ。やはり昨夜の雨でまだ岩が濡れていて滑るので慎重に下りる。2度目の鎖場を過ぎてからは九十九折れの急な下り道が延々続く。前方のガスの中から聞こえてくるイワヒバリの鳴き声に向かって進めば30分余りの下降でやっと不帰のキレットに到着だ。前方から、昨夜は唐松のテン場に泊まったという6人がやってきた。やはり彼らからも「昼からは天気が悪い」との情報を得た。しかし今日は頑張って白馬のテン場まで向かうという。お互いの安全を願って別れた。

 昨夜私と同じ小屋に泊まった単独の先行者とはここまで何度か話しを交わしたが、ここでゆっくりしゃべることができた。今日は唐松から五竜を越えてキレット小屋に泊まるのだという。せっかく休暇をとって白馬から扇沢まで縦走しているのに、もう少しスカッと晴れて欲しいものだと話していた。
最大の難所のU峰北峰 こんな所もあった
 前方から若いカップルがやってきた。思わず「不帰のキレットは怖くなかった?」と聞いてしまう。T峰の頭にやってきたが前方に見えるはずのU峰がガスのため見えない。見えないほうが怖さが分からないのでいいのかもしれないが、そのガスの中から聞こえてくる「ヤバイっすよ」「ここヤバくないっすか〜」「70度くらいありますよ」の声に思わずビビる私だ。

 8時丁度、T峰とU峰の鞍部に降り立つ。心配したガスもひどくならず、さていよいよこれから核心部分に向かって登ってゆく。まずは鎖を持っての登りだ。そして続いて空中梯子。岩場の左を巻いて進むとまたも3段の梯子がある。振り返るとさっき通過したT峰が迫力ある姿で見えた。もう一度岩場の左を巻くと意外と簡単にU峰北峰のピークに到着だ。地元大峰の山の岩場にある鎖や梯子や行場、そして先日の弥山川等を経験しているので私の場合はすんなりとここまで来れた。

 目の前にU峰南峰が見え、その向こうには小さく人の姿も見える唐松岳ガ望める。わずか15分で次の南峰に到着だ。ここではカメラマンが白馬三山方面を狙っていた。「いいのが撮れました?」と聞いたが「今日はガスが多すぎてダメ」だとのこと。三脚を片付ける姿が寂しそうだった。
U峰からT峰と天狗ノ大下りを振り返る 八方尾根から見たU峰(南峰・北峰)
 天狗を出るとき見送りを受けたコマクサは、今度は難所を終えた私に歓迎の姿を見せてくれている。すると突然前方ガスの中にピークが現れ、座っている人の姿も見えた。思わず「そこが唐松岳ですか?」と聞く私。「そうですよ、お疲れ様ぁ」の答えが聞こえてきて、やっと私の心の緊張が解けた。ガスで展望のまったくない山頂は足早に通り過ぎて、唐松小屋に直行する。そして缶ビールで乾杯だ。

 ツアーだろうか、列を成す大勢の登山者の団体が登ってくる八方尾根を下る。丸山雪渓にはとりわけ休憩する登山者が多いようだ。きれいなタカネマツムシソウやツリガネニンジンの花を見て進めばやがて八方池。ここではカメラと花図鑑を持ったハイカーやファミリーでいっぱいだった。

 リフトとゴンドラを乗り継いで下り立った白馬の町はちょうどお昼とあって人の数は少なかった。携帯でトミーに連絡を取ったらまだ下山中で、もうすぐ猿倉に到着するとのこと。1時間余り村営駐車場で昼寝をしていると、やっとトミーが現れた。鑓温泉は入浴時間待ちがあって入れなかったとのことだが、この駐車場近くにある「白馬八方温泉第二郷の湯」ならなんと入浴者は私達を含めてたったの4名。いいお湯にゆっくりと浸かって二日間の汗を流した後、我々は大満足で大和の地へ向かって帰ってゆくのでした。


ホームへは上をクリックしてください












SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送